二十数年前までは、亜硫酸塩を配合した化粧品カール剤を除いて、パーマはすべて医薬部外品で、使用できる還元剤もチオグリコール酸塩類とシステイン類しかありませんでした。しかし薬事上の規制緩和により、システアミン、スピエラをはじめ、様々な還元剤が化粧品カーリング料として使用できるようになりました。そうした状況でも、チオグリコール酸塩類が大きなシェアを占めてはいるものの、徐々に化粧品カーリング料も傷みが少ないという特徴が支持され、パーマ剤の中で確固たる地歩を占めるようになりました。
しかし還元剤の種類が多くなって、還元剤ごとのかかりの特徴がわからないという声をよく聞くようになりました。そういった声に応えてヌースフィットが発案したのが、「還元剤パワーグラフ」です。
キルビーロッド
パーマ液の強さ、すなわちウェーブ効率は、業界の標準試験としてキルビー法を用いて表されます。キルビー法は、およそ20cmの毛束をキルビーロッドに巻きつけ、パーマ処理を行ない、その形状を測定するものです。キルビー法によって示されるウェーブ効率は、0~100%で表されますが、40%以下だと技術者からほとんどかからない、あるいはまったくかからないと言われるレベルです。
還元剤パワーグラフでは、チオグリコール酸換算濃度6%の還元剤のpHごとのウェーブ効率をグラフにしたもので、健康毛と損傷毛、室温と加温状態で測定した結果をプロットしてあります。昨今はサロンでもpHメーターを常備しているところも多く、このグラフを参考にすれば、各還元剤のpH、温度による挙動がわかり、製品選択や施術条件などを考える大きな指針となります。弊社ではこのグラフをつくるために、膨大な実験を繰り返しました。もちろん髪質によっては、期待した結果が出ない場合もありますが、パーマ施術における、予測と結果の考察のための強力なツールになると思います。
弊社ではこの還元剤パワーグラフを新美容出版株式会社『マルセル』に発表し、多くの技術者の方から「役に立った」とのお言葉をいただきました。
『マルセル』2014年1月号で還元剤パワーグラフが特集されました。
『マルセル』2014年12月号「GMT特集」でもパワーグラフが使われています。
『マルセル』2015年「還元剤図鑑」でもパワーグラフが活用されています。
チオグリコール酸、システアミン、スピエラ、GMTの還元剤パワーグラフ
縦軸:ウェーブ効率、横軸:pH(黒毛=健康毛、2B毛=14トーンにブリーチした毛髪)