FMCBとは、F(フィブリル/Fibrill)、M(マトリックス/Matrix)、C(コントロール/Control)、B(ブリッジ/Bridge)のこと。毛髪の中にはさまざまな結合があり、その中でも毛髪が他の組織に比べ強い強度を持っているのはイオウとイオウの結合、すなわちシスチン結合があるからです。パーマ剤は、このシスチン結合を切るので、硬い毛髪を曲げたり伸ばしたりできるのです。
このシスチン結合は、毛髪の中のどの位置にあるかによって、その役割が異なります。ヌースフィットはSPring-8をはじめさまざまな研究から、シスチン結合の存在するフィブリルとマトリックスに最適な比率で薬剤を作用させ、膨潤を低レベルにコントロールしながら還元し、再結合、架橋を行なう方法を開発し、FMCBと名付けました。FMCBはパーマ理論の大きな革新でした。これによって、パーマやストレートがより安全で美しくかけることが可能となったのです。
ヌースフィットのSPring-8での研究により、パーマ(還元剤)が切断する毛髪コルテックスのシスチン結合の位置は二通りあることが確認され、それはミクロフィブリル間の結合とマトリックス内の結合であることが予想されました。フィブリル間の結合が切れると、毛軸方向のずれが生じ、やわらかいウェーブを出すことができますが、毛髪は膨潤せず、損傷もほとんど起きません。これを我々はF還元と名付けました。一方、マトリックス内結合が切れると、そこに水が入り込んで毛髪は膨潤し、その力でフィブリル間結合も切れます。またマトリックスは徐々に破壊し、毛髪外部にその破片が流出しだします。これをM還元と名付けました。
還元剤の種類によって、切るシスチン結合は異なっており、スピエラ(ブチロラクトンチオール)やGMT(チオグリコール酸グリセリル)はF還元、アルカリ性のチオグリコール酸やシステアミンはM還元をします。従来のパーマシステムでは強くかけようとすればするほどアルカリや還元剤の濃度を上げ、結果として過膨潤が起き、毛髪が傷んでしまいました。傷みの少ないパーマをするためには、適切な還元剤で適切な結合を切る必要があります。そのためにはできるだけF還元で行き、それで足りない部分をM還元で補うという考えが大切です。
毛髪中のミクロフィブリルの位置
シスチン結合の位置、健康毛と損傷毛
[基本アイテム]
・F還元:Fジェル、Fローション (スピエラ。ほかにヒモストSp、ヒモストGMTなども可能です)
・M還元:Mジェル(システアミン)、Mローション(システアミン)、Cジェル第1剤(チオグリコール酸pH9、医薬部外品)、ヒモストM(チオグリコール酸、医薬部外品)、ヒモストS(チオグリコール酸、医薬部外品)
・ブリッジ(再結合=酸化剤):bR2液(臭素酸ナトリウム)、Cジェル第2剤(過酸化水素)
・ブリッジ(架橋):Bジェル(ハイブリッドコポリマー)、パワーR2プラス(リアクティブレジン、ケラチンPPT)
[オプションアイテム]
・前処理剤:マルチPPT32(32種類のPPT)、パワーPPTプラス(高分子ケラチンPPT、コラーゲンPPT)、パワーKRTプラス(高分子ケラチンPPT)、パワーR2プラス(架橋剤、ケラチンPPT)
・中間処理剤(ストレート時アイロン処理の前など):パワーLPDプラス(CMC様脂質コンプレックス)、スプレーコンデDD(消臭、感触良化トリートメント、クリームなのにガンスプレーでスプレーできる)
・後処理剤:前処理剤と同じ
パーマのかかりの強さには個人差がありますので、ご要望に応じて薬剤、ロッドなどを変えて調節してください。