脳波(Electroencephalogram:EEG)とは、人や動物の脳から生じる電気信号を記録したものです。ドイツの神経科学者ハンス・ベルガーが1920年代に初めて人の脳波を記録し、α(アルファ)波の存在を確認しました。α波とは、脳波のうち周波数が8~13Hzのものを言いますが、1~3Hzのものをδ(デルタ)波、4~7Hzのものをθ(シータ)波、14Hz以上のものをβ(ベータ)波と言います。α波は閉眼・安静・覚醒状態で多く出ると言われますが、数学の問題を考えていたり悩みを抱えていたりすると出現が少なくなると言われます。しかし、以前聞いた話ですが、将棋の名人やそろばん日本一の女の子を測定したところ、対戦中や計算中であるにも関わらずα波が多く出ていたそうです。脳波と同じようにからだの電気信号を捉えて記録したものに、心電図があります。
脳波の感性スペクトル解析とは、脳波から感情を表す「喜・怒・哀・楽」を取り出すシステムです。開発した東工大名誉教授の武者利光博士によれば、先生が電子通信研究所にいたころ、知人の医師から相談されたことがヒントになったとのことです。その医師は心臓外科の名医で、心電図などから心臓疾患の患部を正確に特定することができ、当然手術の成功率も極めて高かったのですが、部下の医師に説明しても理解してもらえなかったそうです。そこで心電図と自分の判断を物理学の手法で結び付けられれば、経験や勘に頼らなくても患部を見つけるシステムができるのではないかと考えたのです。
この研究がその後どうなったかについては先生に聞きそびれましたが、先生は大学を定年退職後、何か社会に役立つ仕事をしたいと思っていて、それにこの時の経験が生かせるのではないかと考えました。当時自殺の増加が社会問題になっており、人々の不安や悩みを解消することが喫緊の課題となっていました。人々の喜怒哀楽を数値化することができれば、仕事のやり方や製品の設計、さらに医療など、様々な分野への応用が期待されます。すなわちQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上に大きく寄与できると考えたのです。先生は、このプロジェクトを進めるため脳機能研究所を設立し、感性スペクトル解析システム(ESAM)の開発に取り組み、製品化に成功したのです。このESAMは、クルマの乗り心地やふろ場のリラックス測定など様々な分野に応用されていますが、先生はさらにこのシステムを認知症の早期発見につなげる研究を行なっています。
ヌースフィットでは、ヘッドスパ製品の開発にあたり、できるだけリラックス効果の高い製品をつくりたいという思いがありました。そしてリラックス効果を計るための客観的なツールとして早い段階から武者先生の感性スペクトル解析システムに注目していました。システムの導入を検討する際、脳機能研究所に問い合わせたところ、懇切丁寧な対応をしてくれたことから導入を決定しました。その後研究所内でニーダブル・スパの実験を行ったほか、武者先生自ら弊社での実験に参加され、アドバイスしていただくことができたのです。それまではとかく感覚的であいまいな評価と表現しかできなかったヘッドスパに客観的な数値が与えられたことは、開発の方向性を決めるうえで大きな助けとなりました。ニーダブル・スパでは、施術方法や香料選定にこの解析ツールを利用しました。
脳波の感性スペクトル解析画像
武者利光博士
武者先生の指導の下にヘッドスパの効果計測