カラーバターに配合されている色素(染料)は、塩基性染料、HC染料と呼ばれるものです。これらに特徴的なことは、従来のヘアダイ(酸化染毛剤)にはない鮮やかな色味があるものの、黒色あるいは黒褐色の染料がないということです(*1)。
そのためカラーバターのブラックやディープブラウンは、複数の染料を組み合わせて暗い色をつくっているのです。もう一つの特徴は、カラーバターはヘアダイとは違い、水彩絵の具のようにクリームの色味がそのまま染色する色になるということです。忘れてはいけないのが、カラーバターには脱色作用がないので、黒い髪に絵の具を塗っても色がよくわからないように、黒い髪ではカラーバターの鮮やかな色味はほとんどわかりません。(*2)
ですから、絵を描くとき紙の色によって色味が変わるように、カラーバターも染める前の髪の白さによって発色度が変わってきます。
この塩基性染料やHC染料は、可視光線や紫外線によって劣化しやすく、原料そのもののロットぶれが大きいという欠点があります。ロットぶれというのは、たとえば原料の製造日が異なると、同じ量で染めても染まり方が大きく違うということです。カラーバターでは、十数種類の色素を配合しているため、原料ロットが変わることは日常茶飯事です。まさにカラーバターは生ものなのです。ヌースフィットでは、原料ロットが変わるたびに試作を行ない一定の染まり具合になるように調整をしています。
また製品の染色性と安定性を高めるため、クリームの粒状を一定の状態に制御するなど、改良を続けています。
色素は色味だけでなく、乳化状態や製品の粘度に大きな影響を及ぼします。そのためロットが変わるたびに事前試作を行ない、問題のない製造方法を決定するのですが、いい加減な試作をしてしまうと何百キロという製品の廃棄につながりかねません。
ヌースフィットでは、まず(1)200g程度の手撹拌による試作から始め、(2)高速撹拌機を用いた500g~1kgの試作、(3)少量真空乳化装置を用いた2g~5kgの試作を経て(4)本生産に移ります。試作のたびごとに偏光顕微鏡による乳化状態の確認、pH、粘度などの物性変化を調べています。
実験用高速撹拌機
少量真空乳化装置
偏光顕微鏡による粒子観察
本生産用真空乳化装置