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『マルセル』FMCB特集

2012/04/01 
ヌースフィットが提唱するFMCB理論が新美容『マルセル』で特集されました。

 一メーカーが提唱する毛髪理論が業界誌で特集される、これは異例なことです。おそらく新美容『マルセル』の読者の多くは、「えっ?ヌースフィットってなに?FMCB理論ってなに?!」とつぶやいたに違いありません。
なぜ新美容はヌースフィットのFMCB理論を特集しようと思ったのでしょうか?『マルセル』の記事の冒頭には、「今号が出れば、パーマ還元についての議論に一石を投じることになるでしょう」と記されています。なにか、新美容編集部の決意のようなものが感じられるのではないでしょうか?

 実は美容の現場で適用できる「理論」と呼べるものは、そう多くはありません。たとえば、「毛髪はケラチンタンパクでできている」と聞いても、これを皆さんが日常の施術に応用することはほとんどできません。私たちが講習会で話したり、皆さんが聞いたりすることのほとんどは「知識」であって「理論」ではないのです。 近年毛髪の構造解析が進み、以前とは比べものにならないほど、毛髪の詳細な構造がわかるようになってきました。しかし、そういった結果も、ほとんどは知識にとどまらざるを得ないのです。なぜなら、学者がある理論に基づいて分析機器を操作して、毛髪に脂肪酸が存在することがわかったとします。この場合、学者にとっては理論が自分の仕事を進めてくれたかもしれませんが、私たちにとっては脂肪酸が存在することはひとつの知識に過ぎません。

 美容において役に立つ理論とは、(A)ある事実があるから(知識)、(B)施術はこう行うべきである(実践方法)という二つがセットになっていなければならないのです。 一方で、美容技術者の間では、さまざまな技法が開発されています。クリープパーマやダブル還元などもその一例です。これらの技法に関しては、やってみてたまたま良かったという結果に後づけで理屈が付けられたりもしていますが、それらのほとんどは科学的にいささか頼りないものが多く、たとえ素晴らしい技法といえども理論とは言えません。 パーマの理論に関しては、四十年前、故大門一夫が「クリニック理論」というものを提唱してからほとんど進歩していないのです。

 クリニック理論はきわめて単純なもので、アミノ酸は弱酸性の等電帯で一番安定であるから、その集合体である毛髪も弱酸性で安定である。だからサロンでの施術後はお客様の髪を弱酸性に戻しておかえししなければならない、というものでした。これは彼の化学的知識に基づいたまことに正しい理論で、その正当性は今も変わりはありません。前述の二つのセットが完璧に揃っているのがおわかりだと思います。
 ではFMCB理論はどうなのでしょう?私たちとしては師でもある大門一夫がちょっとは喜んでくれたかな、と思っているのですが、実際のところ『マルセル』を読んだ皆さんに判断していただくしかありません。ぜひご一読のほどを。