本年は辰年。「辰」の字はもともと貝が足を出して動いているさまをかたどったもので、その貝殻が農耕に使われたことから「農時」の意味を持つようになったとのことです。事実「農」という字は「辰」を含んでいることからも、それをうかがえます。
また、農時には草木が芽を出し、変化し、雷が鳴る(震う)と伝えられています。
昨年の東日本大震災、引き続いて起こった原発事故は、日本全国に感情の嵐を巻き起こしました。
多くの日本在住の外国人が日本を去り、マスコミやネットによる政治家や行政に対する言葉狩りは今も続いています。
東京にあるヌースフィットでも、震災によって本社の実験室がめちゃくちゃの状態になり、一時は工場との連絡も取れなくなりました。
緊急対策として、全員を工場のある板橋勤務にして、今に至っています。
たしかに災害の爪あとは何世代にもわたって社会に影を落とし続けるのかもしれません。
また余震や瓦礫などの問題を考えると復興は一から始めるどころかマイナスからの発進であるとも言えます。
しかし、被災地に暮らす人々の健気に黙々と不安な未来に立ち向かう姿は、世界中で賞賛されています。
太古から自然災害と共存しながら生を営んできた日本人の原点がそこにはあります。
文句を言い続けても、ものごとは進みません。
視線を前に移し、行動を起こしてこそ、発展の蕾(つぼみ)はふくらみ始めるのではないでしょうか?
被災地のさまざまな産業で新たな取り組みが起きていることを報道などで知るとき、自分の置かれた境遇を受け入れ、目の前の課題に一歩一歩取り組んでいくことの大切さに気づかされます。
さて、農業と言えば、企業の研究活動は農業だと私は思っています。
よく一括りに研究開発と呼ばれますが、開発は研究とは異なり、商売(=商業)に関することだと思います。
現代の風潮は開発を重視し、研究を少しないがしろにしているのではないかと私は思っています。
一般の消費者も、スティーブ・ジョブズを筆頭にするイノベーターばかり賞賛して、その影で地道に研究を行っている者を軽視しているのではないでしょうか?それはたびたび問題になった政府のスーパーコンピュータなどの事業仕分けでも端的に現れています。
しかし、数十年間日本のものづくりを支えてきたのは、そういった地道な研究活動なのです。
皆が上っ面しか見ないから、勢い風評やその場の印象で判断したり、安直なものに流されてしまう。
美容業界の不振も、原因はそういったところにあるのではないでしょうか。
もうお客さんのご機嫌伺いばかりしていないで、仕事の上では一途に本物を求めていったほうがいいんじゃない?
ヌースフィットはこのごろそんなことを考えています。
一途に真実を追究する過程にこそ、業界を進歩という蕾が膨らむのではないかと思っているのです。
本年は深化したFMCBと、アイロンをまったく使わない縮毛矯正「ディアリーブロー」をご紹介するつもりです。
ご期待ください。
平成二十四年 元旦 株式会社ヌースフィット