FMCB_fibril_matrix
2010/01/01 
現在もっとも信頼できる毛髪科学と独自製品のヌースフィット

 あけましておめでとうございます。昨年もさまざまな方のご協力をいただきながらほんのわずか前進したヌースフィットです。
  しかし政権は交代したものの世はまさに不況の真っ只中、不確実性の時代は今年も続くことは間違いありません。
  そんな中でお客様に少しでも確かなものを提供する責任が、とくにヌースフィットにはあるのではないかと思い、生意気なようですが理想も加えてつくったスローガンが表題の言葉です。ヌースフィットはこれを実現するために、以下に述べる私たちの強みを最大限に生かさねばならないと考えています。

 ヌースフィットの強みは、まず幼稚な方法であれ高度な技法であれ、自分たちで調べられることはとことん調べるというスタンスです。時には会社が傾くほどの投資も行ってしまいます。私の趣味、あるいは「強みではなく弱みだ」と言われればそうなのですが、ヌースフィットでは「なぜ?」を問う気持ちが一番大切だと信じているからこそなのです。
一昨年の大型放射光施設SPring-8でのミクロフィブリルとCMCの研究でも、拙いコンピュータ操作のせいもありましたが、160GB(ギガバイト)の実験データを解析するのに、私も含めて4人のスタッフがほぼ毎日それだけやって3週間も掛かってしまいました。その間、他の仕事はペンディング状態でした。
  しかし、そんな思いをして得た実験結果で使えるものはごくわずかです。上の絵は毛髪中のミクロフィブリル(IF: Intermediate Filament Protein / 鎖でつながれている柱状の物体)とマトリックス。タンパク(KAP: Keratin Associated Protein / 紅白の球状の物体)を表わしたものですが、あくまでも私の想像上の図です。私たちはさまざまなパーマ液に浸した毛髪のミクロフィブリル間の距離やバラツキ、キューティクルCMC間の距離を調べましたが、マトリックスはよく「球状タンパク」と言われますが、実際球状であるかはわかっていないのです(おそらく球状ではないんだろうけど)。
また、毛髪が傷んでくるとミクロフィブリル間の距離が大きくなってきますが、私たちはこれがマトリックスの膨潤によって起きていると考えていますが、もしかしたら別の原因で起こっているのかもしれません。
このようにして得たわずかな知識を積み重ねながら、私たちの目的である「傷めない毛髪成形」のための理論を構築して行くのです。もちろん、まだまだ不完全で、間違いが多いかもしれません。しかし、私たちは現状でもっとも信頼できると思われる毛髪科学を自分たちで構築し、それに基づいて製品開発を行ってゆきたいのです。

 ヌースフィットの強みの第二は、独自に処方開発をし、ほとんどの製品を自社生産している点です。
  一般のお客様やサロン技術者の方は、メーカーであれば皆毛髪科学の研究を行っていると思われがちです。しかし、大企業を除いてほとんどのメーカーで行われている研究はこの調合研究です。上で述べたような基礎研究を行っているメーカーはほんの数社しかありません。
調合研究でもヌースフィットは独自のスタンスを持っています。たとえば、まず「臭くないスピエラ(パーマ)」「気分が落ち着く(シャンプー)」などのコンセプトを実現するために何をクリアすれば目的に近づけるかを考えます。前者では、従来は用時調製式(スピエラ濃厚液と希釈液を使用直前に混合するためニオイが強い)だったものを1剤にまとめればおそらくニオイは抑えられる(すなわち水溶液での安定化を図ればよい)、後者では唾液や脳波を研究して一番リラックスができる香料や材質を選べばよいと判断したら、それに沿った処方開発をしていくのです。
  処方決定のための試作も膨大な数にのぼります。たった一つのシャンプーの試作でも、少なくても数百回、多いときには千を超える試作を行います。少し原料に詳しい技術者の方はシャンプーの処方など、界面活性剤の組み合わせだけで簡単だと誤解されている場合がありますが、とんでもないことです。コンセプトを満足すること、使い心地、安定性、安全性など、いくら試作しても多すぎることはないと言ってもよいのです。
  しかし、自分たちが満足するまで試作を行い製品化するためには、自社に戦闘力のある研究施設と生産施設がなければなりません。生産設備を持たないファブレス企業であれば、とてもここまでこだわったモノづくりをすることはできません。

 以上表題にこめた私たちの思いとは、ヌースフィットは自分たちの強く信じる毛髪科学を追究していて、その理論とともにそれに沿った製品を皆様に届けたいんだ、ということです。こうした思いでつくったヌースフィットの製品が皆様の業務のお役に立てば、私たちにとってこの上ない喜びであり、さらに研究を進める原動力になります。私たちの新毛髪成形理論FMCBもそうして生まれ、皆様の新たなアイディアによってさらに進化しています。
  昨年は兵庫のindigoの正木さん、大阪ヴァイナルズ・ミックスの川上さん、北九州ソフィアの平川さん、そして東京青山クレアトゥール・ウチノの内野さんにはとくにお世話になりました。厚く御礼申し上げます。
  本年は、傷みの少ない明るい白髪染めをメインテーマとしたシンプルなヘアカラーシステムと、CMC研究の結果生まれたヘアケア剤をご紹介する予定です。毛髪科学の講習も各地で開催する予定です。実験主義社ヌースフィットは皆様の声に実験で答えます。ご質問、ご要望は大歓迎です。今年もよろしくお付き合いのほどを。

<追悼>
  私は毎年ホームページに載せる文章を大晦日に掃除を終えたあと書いているのですが、今年はここまで書いて年が変わってしまいました。
  しかし泉(セン)さんが新しい年を迎えられなかったとは!
  昨年もっとも悲しかったことは、11月30日にMr.ハビットの技術を開発した横浜元町スリーズカンパニーの小林泉さんが亡くなったことです。享年48歳。なんと早く逝ってしまったことか。
  泉さんが本格的な縮毛矯正の扉を開けてくれなかったら美容業界がこれほどストレートの恩恵を受けることはなかったでしょう。彼は私と大門一夫さんでつくったパーマ剤に新しい命を吹き込んでくれました。
  無類の酒好きで、彼と会うときは私はいつもホテルを予約し、夜通し語り合うのが常でした。「オサムさん、今度はこんなのがやりたいんだよ」と大きなジェスチャーを交えて話す彼の姿は一生忘れないでしょう。私が苦境に立ったときも、彼は真っ先に「俺はオサムさんとやっていく。オサムさんの薬剤がないと始まらないんだ」と励ましてくれました。私も彼を生涯の同士だと思っていましたが、私に限らず彼の心の広さ、人間的な魅力に感銘を受けた方は多かったと思います。ご冥福をお祈りします。

平成二十二年 元旦                株式会社ヌースフィット


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